柚太は普段は見せないような穏やかな笑みを浮かべ、“そうですよ”と答える。

その瞬間、どういう事なんだと言わんばかりの多くの視線が沢谷に集まった。

沢谷にも一瞬何が起こったのかが分からなかったようで、冷静さを欠いてしまっていたよう。

視線が集まった事で考えられる理由がゆっくりと徐々に思い浮かびあがって来た。


「何らかの理由でここに妹がいる事を突き止めたんだろうな。多分あの侍を呼んだせいか?」

「ええ、今さっき天へ向かおうとした時に丁度気配を感じたもので。挨拶をしようと思いまして」


ブツブツと話す沢谷の言葉に泰一は丁寧に答える。挨拶をしようとここに来た時、

わずかにかなこの気配を感じ、1番近くにいた柚太へと乗り移ったと言う。