「これ、湯浅にあげようかな……あいつ、6人で食べる以外はほぼ学食っぽいし」

「えー? だったらワタシのあげようかな。
ユズも蛍人君には劣るけど大食いだし、持っていた方が良いって!」


表彰式も終わり、宿舎に戻る帰り道の事である。

手に入れたパスを眺めながら柚太と佐和、そして郁人が並んで話しながら歩いていた。

柚太と佐和がワイワイと話している傍で、郁人はなかなか話に入る事が出来なかった。

ふるふると握りしめたパスを震わせながら、勇気を振り絞り郁人は佐和に話し掛ける。


「さ、佐和ちゃん……!」

「ん?」

「僕、そんなに食べないから、その……あの……」


郁人は顔を赤く染める。暗がりでもそれはよく分かる位に。