「かなこ、お前……!」

「かなこさん、賢明な判断だね。……さあて、旭。
一応これでも君の気持ちは分かっているつもりではいるけどさ。
でも旭の命にも関わる事だから、今はそうも言っていられない」

「…………」


旭を見下ろす奏と、俯いたままの旭。そのままずっとその状態が続く。

2人の間にいるしゃがむ咲と里緒。奏の隣にいる蛍人。

彼ら3人はどうすればいいか分からず、ただその状況を見守る事しか出来なかった。


「お前、この先の事分かっていて言っているだろ?」

「さあ? 分かっていてもいなくても、ボクが言う事は同じだと思うけど?」


やっと旭が言葉を口にしたかと思えば、奏に対してやや怒りをあらわにしたような発言であった。

本当は奏にはこの事も既に見えていた。この事だけではない。この先の事もだ。

だがそれを言う事は奏には出来なかった。それは旭にも分かっている事であろう。