「1人で行動した罰ね。ほら、膝見せてみて? 派手にやったわねえ……」

「笹原がやるのか?」

「先生は他のペアが帰って来たか見ているんでしょ? だったら私がやりますから。
先生は自分の仕事をしたらどうなんですか?」

「まあそうだが……そうでなくても、先生手当ては苦手でな。すまない、やっておいてくれ」


再び自分の仕事に戻る先生は、まるで旭を説教する事も忘れているようであった。

先生から受け取った救急箱で手早く手当てを始める里緒。

消毒液が染みて悲鳴を上げそうになるのを何とか堪えながら、旭は手当てが早く終わらないかと待つ。

本当はもっと丁寧にやって欲しいと思ったが、今の旭にそんな発言をする権利はなかった。