「あ、旭……!?　一体どうかした?」

「やめて下さい、半裸で私に近寄らないで下さい、お願いですから何かお召しになって下さい」


奏が旭に近寄ると、更に彼（彼女）は狂い出す。

パニックで混乱しているだろうその姿を見、奏は今目の前にいるのが旭ではなく幽霊である事を理解する。


「旭……その身体の主はまだ眠っているようだね」

「え、ええ……私の方が早く目が覚めてしまったようなので。こうして出て来てみました。
それに兄様を早く見つけなければいけませんし……」

「そう。でも旭も割と早起きだから、君が出て来ているとは気付かなかったよ」

「……お願いですから何かお召しになって下さい。いつまで半裸でいる気ですか。私、一応女ですよ?」


旭の姿で自分が女だと発言する姿に違和感を覚えながらも、奏はせかされるがままに服を着替える。