「まさか最後の1年だけ山になるなんてなあ……」

「仕方ないよ。女の子の水着姿に鼻血流す子多発したんだから」

「さっきも思ったんだが……いたか?」


嘆くように柚太がぼやくと、当たり前だと言わんばかりに佐和が去年の出来事を言う。

柚太はそんな奴がいたのかを頭の中を張り巡らせる。

“鼻血を流した”に該当するのはいなかったが、明らかに水着姿にダウンした人物を思い出した。


「……ああ、いたな。鼻血ではなかったけど」

「え? 鼻血もいたでしょ?」

「一昨年じゃなかったのか?」

「んんー……? そう言われたらそうかもしれない」


柚太は考え込む佐和の横顔を見ながら去年のその出来事を思い出した。