必然的に柚太と佐和は同じ場所での特訓と言う事になるからか、

その事実を部屋に入ってから知った郁人は相当なダメージを受けたらしいが、

柚太にとってはどうでも良い事であった。


「ユズ?　どうしたの?　疲れたような顔して。まさかまた郁ちゃんと……」

「んな訳ないだろ。あっちが突っ掛かって来ただけだからお前は気にするな」

「なら良いけど……」


担当する先生の説明を聞きながら、

聞いている位置が偶然隣同士になった柚太と佐和はこそこそと話をする。

既に2回受けているからか説明内容もほとんど分かってしまっている為、

2人は簡単に聞くだけで良いと勝手に判断したのだ。

2人だけではない3年全員が恐らく同じ事を思っているのだろう。

同じようにおしゃべりをしている姿がちらほら見受けられた。