「……僕には、心を許せる唯一の人を傷付けた過去があります。

直接聞いた訳ではないですが、彼女の性格からしてその人は僕を責めてはいないでしょう。

ですが、僕がキチンと守る事が出来ていれば起こらなかった事です。

貴女はその人に似ています。僕は嫌でもその事を思い出す。

思い出す度に息が苦しくなる。耐えきれない位に。逃げたい気持ちになる。

さっきもそうでした。また同じ事を繰り返すんじゃないかと怖くなりました。

やっと守れたのも、嬉しかったですが偶然です。

貴女が近付こうが近付かまいが、その時には集中力は途切れていましたし。

それにこれでトラウマを克服する事が出来たとは言えません。

過去に囚われて、逃げているだけだと思って下さっても構いません。

ですが今の貴女は僕にとっては過去を掘り起こす存在でしかありません……

僕は自分で言うのもおかしいですが、まだ過去を乗り越えられるほど強い人間ではありません。ごめんなさい」