それはまるであの事件と同じような光景。力を集中させてビンを止める蛍人は、徐々に険しい表情になる。

里緒は最初の内は蛍人に逆鱗に触れるような事を言ってしまったのかと、ヒヤヒヤする。

幾ら話しかけても動じようとしない事も、彼女を不安にさせるには十分だった。

喋れば集中力が途切れてしまう為か、蛍人は目で必死に訴える。避けて、と。


「ちょっと、どうしたって言うの!?」


里緒が蛍人の両肩を掴もうと動いたその瞬間。彼の集中力は途切れた。

ビンはわずかではあったが里緒を避け、背後に音を立てて落ち、割れた。直撃する事を免れたようだ。


「え……? ……えぇ!?」


やっとビンの存在に気付いた里緒は上を見る。上には男子生徒2人。

片方が申し訳なさそうな表情をしていた。