そうして手は勢い良く放たれた。団結力も決意も強まった所で、

柚太は蛍人に聞こえないように佐和に小声でとある事を尋ねた。


「おい、笹原は何番目に走るか分かったか? あいつと同じだと凄いヤバいからな」

「えーっと……ヤバい事になっちゃった、とだけ伝える」

「ま、まさか……」

「うん。5番目。蛍人君と一緒」


此処に来てまさかの緊急事態。

蛍人が彼女と並びたくがない為に猛スピードで走るなら良いのだが。

その逆で走る事を拒んでしまったら大変な事になる。


「……ったく、魔性の女の呪いって恐ろしいな」


今更順番を変える事も出来ず、柚太は佐和と懸命に対策を本番ギリギリまで練るのであった。