「先輩……これ被るの、手伝って下さい。代わりに僕も手伝いますから」


柚太はそんな奏の姿に呆然としていると、傍にいた蛍人に突然話し掛けられ心臓を高鳴らせる。

蛍人は奏の様子にはどうやら無関心のよう。

何事もないかのように着替えを終え、紫色をしたショートヘアのウィッグを片手にしていた。


「あ、ああ……もう少しで着替え終わるから待っていろ」


水色のワンピースを着た柚太はその上からエプロンを着け、

後はウィッグを付けるだけの状態にまで持って行った。


「待たせたな、ほらジッとしていろよ……本当にこれ、慣れないな」

「確かにそうですが、良かったです。涼しいカツラがあるとは思わなかったので」

「……ちょっと会話がかみ合っていないと思うんだけど、湯浅」