部活を行っていないと言う事もあってか、旭にとっては唯一同じ場所に所属する後輩と呼べる存在。

最近では弟のような存在だとさえ感じていた。


「やっぱり彼の事となるとやる気がまた変わってくるね。旭は」


旭本人は何も言わないが、同じクラスで尚且つ寮も同室である奏は、

既に彼がどうすれば動くのかが何となくではあるが分かっているようだ。

いそいそとようやく着替え出した旭を見届けた後で、奏が取った行動は……。


「さーて。どこの誰かな? 鼻の下伸ばしてみている人達は。まずはこの場所を綺麗にしないと、ね?」


にっこりと何かを企んでいるかのような腹黒い頬笑みを浮かべ、奏は視線を感じた方へと振り向く。

その微笑みの真意を知らない男子達の中には、ノックアウトされてしまった者も。

まだリレー前だと言うのに奏は既に何人かを負かしていた。