痛い位の視線を感じながらも奏は旭に必死に声をかけるも、旭は無反応に近い。

いい加減に苛立ってきた奏はとうとう最終手段に出た。


「あまり言いたくはなかったけど……旭がそんなので、走ってみろ。
古瀬先輩だけじゃない。湯浅君にだって迷惑がかかるんだ。
旭のせいで彼がこの先辛い日々を送る事になっても、ボクは君を助けない」


いつもとは違う、低めのトーン。

その言葉が通用しなかったら奏は旭の代わりに走る事さえも考えていた。

だがその心配もなくなる。何故ならば……。


「蛍人に辛い日々は送らせない……」


旭は蛍人という言葉に反応し、ゆっくりではあるが行動に移し始めたからだ。