他の馬役と騎手と合流し、騎馬を作る。

先頭に立った柚太は後ろにいる騎手にボソリと脅迫をする。


「横村(よこむら)。ハチマキが1つも取れずに、他の組にハチマキ取られてみろ。大変な事になるからな」

「た、大変な事って……?」

「凄い匂いがきつい香水をお前のカバンの中に毎日吹きかけてやる」

「…………!? わ、分かった。自分のが取られずに1つでも取れるようにやるよ」


騎手である横村の変わった力は犬並みにある嗅覚。だからこそ出来る脅迫なのだ。

他の馬2人は柚太と同じチームでも、騎手ではなくて良かったと心底安心する。


「頼んだぞ。出来ればあの普通科会長のハチマキが取れたらもっと嬉しい。まあ無理とは言わないけど……な?」


それはまるでB組の騎手である郁人の青いハチマキを、絶対に奪えと言っているようにも聞こえた。