聞いた本人である佐和と咲は“こんなに黒かったっけ?”と思いながらも、

奏にかける言葉が見つからずにやや困ったが、

まるでそんな佐和達の窮地を救うかのように蛍人が旭を見付けた事を告げた。

ここぞと言わんばかりのチャンスに佐和と咲は必死になって旭にエールを送る。

そのエールが旭本人に届いているかどうかは別として。


(落ち着け落ち着け……とりあえず逃げ切れば良いんだ)


始まるわずか数十秒前。旭は心の中でそう念じながら深呼吸をする。

すると下の方の馬になっている3人が、まるで旭の心を読み取ったかのように口々に反論した。