「あれだけ力は使うなって言ったのに、アンタ一体何聞いていたんですか!?」

「えーっと……あれ、おかしいな。あはは、は……」


まるで母親と悪さが見つかった子供のよう。これではどちらが先輩で後輩なのかが分からない。

その傍では口を押さえた顔色の悪い柚太が、2人の会話はどうでもよさそうに聞いていた。


「あの、先輩……少し日陰で休まれては?」

「悪いけどそうさせて貰う……リレーまでには何とかなると思うから」

「あ! 湯浅君も先輩と一緒に」

「え? あ、うん」


蛍人は咲に言われるがままに柚太と共に日陰のある場所へと移動し、

座れそうな所に腰掛け2人並んで休憩をとる事にした。