「悪い。でもビリにならなかっただけ良かったじゃないか」

「そりゃあ、そうだけど……」


旭の視線は既に一緒に走った同級生にはなく、周囲の応援席に向けられた。

グルリと辺りを見回せばようやく探していた目的の人物達を見付ける事が出来た。

蛍人と、その左右には彼を監視する為なのか咲と奏ががっちりと両脇を固めていた。

旭の方を見て大きく手を振ったのもつかの間、3人は別の場所に視線を移す。

まるで誰かが走るのを待っているかのよう。柚太と佐和のペアだ。

旭もまだかまだかと残る2年のレースは終わるのを、じっと待った。

その時間はほんの数分の出来事だったが、彼らには長い時間にも感じた。

2年の最終レースが終わり、旭も3人と合流し試合観戦を始める。