ピストルの音で何を言っているかまでは分からなかったが、確かに奏の声が彼の耳に入る。

奏がいると言う事は恐らくは確認はしていないが蛍人も一緒なのだろう。

そう思った旭は張り切りだすも……


「ちょっと!? 何? あっ!」


走るタイミングが相手と合わずに徒競走の時の柚太ほどではないが盛大に転ぶ。

起き上がって立て直すも気合の差が違うからなのか、

何度も何度もつまづきながら前へ前へ1歩ずつ進んでいく。

ゴール直前で前を走っていたB組チームが転んだおかげで、

何とかビリにならずに5位にとどまる事が出来た。


「コケないで、って言ったのに……練習だとコケずに出来たのに」