「無我夢中になると、前が見えなくなってしまって……僕なら大丈夫です。
2人共戻って良いですから。少し休めば落ち着……」

「残念ながらそうもいかないんだよね。君がいなくなると不安がる人が何人もいるんだ」

「えっと……その人達に顔を見せたら日陰で休んで貰っても構いませんから、ね?」


自分は1人でも大丈夫だと言う事をアピールしたかった蛍人であったが、

言葉の途中で奏に笑ってはいるが威圧感のある顔で発言を遮られ、

それにつられて咲も戻って来て欲しいと言う事を伝える。

内心では奏が本当に心配しているのかと疑問に思いながらも。

放っておく事も大切だと咲は思っていたのだろう。


「本当に! 本当に大丈夫、ですから……」

「今、君を1人にすると何をしでかすか分からないから。
それにあまり言いたくはなかったけれど、これは一応会長の命令なんだ。
ボク達に会長の命令を破らせたいのかい? 君が良くてもボク達が困る。
落ち着いて休める場所はいくらでもあるんだ。ダメかな?」