早くしなければ確実に最下位になってしまう。

それだけは避けたかった蛍人は、誰も名乗り出ないならばと無意識の内に強引にとある女子生徒の腕を引っ張った。

その生徒は先程何処かから戻って来た様子で、突然の出来事にひどく驚いているようであった。


「え、ちょっ……」

「ごめんなさい。すぐに終わります」


それが誰なのかを確認する余裕も今の蛍人には無かった。

彼が連れ出した人物を応援席から眺めていた特別科生徒一同は驚きを隠せない。何故ならば……。


「あいつ、何で……」

「明らかに気付いていないですね」