「位置について。よーい……」


何度目かのピストルの音と共に一斉に走り出す走者達。

50メートルほど走った所にある封筒を拾い上げ、各々がその中身を確認する。

4番目に到着した蛍人は殆ど選ぶ権利はなく、適当に目に入った場所の物を拾い上げた。
そこに書かれた“借り物”とは……。


<2年C組の女子>


2年と言う文字を見た途端に蛍人はよく当たる嫌な予感を感じた。

それが当たらなければ良いと思いつつもC組の応援席まで行き、


「2年生の女の先輩、誰か一緒に……」

と恐る恐る誰か来てくれないかと頼んでみるも、走るのが嫌なのか該当する面々は渋い表情を浮かべる。

中には行きたそうにしていても恥ずかしがっている女子生徒も。