不思議に感じている佐和の横にいた旭が、肩をポンと軽く叩きながら一言。

その表情は少し疲れているように見えなくもない。


「旭君、もう疲れたの?　それだとリレー走れなくなっちゃうよ?」

「誰のせいだと思っているんですか……!?」


未だ事実を把握しきれていない佐和だけが妙に浮いて見えていた。

旭はこの時何となくではあったが感じた。“この人に何言っても無駄だ”と。

グラウンドでは借り物競走が始まろうとしていて、

佐和は反省したのかどうかは分からないがそのままグランドを注目し始めた。


「旭君、1番最初!　蛍人君出るよー」


佐和の言う通り、その第1レースには蛍人が出る。

だからなのか特別科生徒会の面々は応援に熱が入る。

その熱の入りようは、奏の時のような普通科生徒会との対決以上なのかもしれない。