「右の靴がない……」

「え!? 一体どこに……」


千智も一緒になって探した結果、靴は全校生徒が利用する傘立てに挟まれていた。

すぐに見付かったのは良かったものの、千智の怒りは収まらなかった。


「本当に相変わらずなんだから……ふざけすぎ」


蛍人はもう慣れてしまったか悲しむ事も怒る事もなかった。

だからまるで千智のその態度は蛍人の代わりに行っているようにも思える。

なんとか靴を履き替え、部活動で賑わう声をBGMに校門までの道のりを歩いているその時だった。