相変わらず黙ったままの蛍人に今度は説教をする千智。

恐らくは何も言わないでただ聞いているだけの蛍人に苛立ちを覚えたのかもしれない。


「僕なら平気だから。もう慣れたし」

「平気なんて嘘! って言うか、いじめている人以外でも見て見ぬ振りしている人いるよね?
私今から行って訴えて来る!」

「ダメ! 僕を思ってくれているのは嬉しい。でもそうしたところで事態が悪化する事だってある。
本当に僕は平気だから。そんなにヤワな人間じゃないから」


クラスへ訴えようとする千智に、それを必死になって止める蛍人。

その必死さを千智は初めて見た。何かをしようとしても何も出来ない。