彼にとっての苦痛の日々が始まってもう1年。蛍人は中学校生活2度目の春を迎えた。

景色は何1つ変わらないと言うのに、蛍人の身体は入学したてのころとは違い傷だらけだ。


(進級したって、クラスが変わったって何1つ変わりやしないんだ)


始業式も終わり、席に座り机にべたりと寝そべる蛍人。

聞きたくなくても聞こえる“化け物”と言葉や、

“ほら、やっぱり変わらない”と思うと同時に。

始業のチャイムが聞こえると共にガラリと扉の開く音も聞こえてきた。

もうそんな時間なのかと顔をあげた時、新たな担任教師の横には見掛けない女子生徒の姿が。

艶のあるセミロングの黒髪を淡い色のシュシュで軽く結われた小柄でやや控えめにも見える少女だ。