「お前、変な力持っているんだろ? オレ見たんだから。それ使ってみろよ?」


同じ小学校だった男子生徒が言う。

他の男子達も、この生徒の言葉を根拠もなく信じ“そうだそうだ”と便乗する。

使ってしまえば楽だったのかもしれない。だが蛍人は使おうとはしなかった。

力を使った事でまた怯えられ、化け物扱いされてしまうから。

特撮とかで凄い力を使っているヒーロ―を見ても皆は“凄い”と目を輝かせる。

でもそれは作られた話だからであって。実際に変わった力を使う人間を目の前で見たら?

誰も凄いとは言わないだろう。蛍人は常にそれを思っていた。


「使えねえのか? ふざけんじゃねえ!」


黙ったままじっと男子達を見る蛍人に対し、苛立ちを覚えた男子達はまた攻撃をする。

彼はずっとそれに耐えたままだった。