だからと言って1番彼が望んでいる“体育大会そのものがなくなる”事はないのだが、

それでも蛍人は蛍人なりの無駄であり必死な抵抗をして見せていたのだ。


(それにこんな気持ちのままで参加したって足引っ張るだけだ。
あの人の願いを叶えないようにしたいし、勝ちたい気持ちは少しはある。
それでも僕が勝って“一切近付くな”と願いを言ったとしても変な気分は変わらないんだろうな)


空を漂う様々な形の雲を目で追いかけながら、蛍人は漠然とただ物思いにふけていたのであった。


(笹原さんを見たり思い出すと嫌でもあの事を……って、何で今それを思い出そうとしているんだ!?)


我に返りむくりと起き上がると首を振り、自らの頬を両手でパシンと叩いた。

蛍人の心の中は相変わらず。気分の悪さは昨日と同じであった。