ただ互いに笑いあって見つめ合う2人。

何も知らない人間から見てもそれは不気味だと思ってしまうだろう。

しかし2人きりの時間は間もなくしてなくなった。この抽選会を仕切る者が現われたのだ。


「失礼しまーすっ! あれ、会長来ていたんですか?」


蛍人に告白し、柚太いわく“魔性の女”な里緒であった。

柚太は思わず声を上げそうになる。柚太と里緒には面識がない。

だがそれでも柚太が知っていたのは、去年の夏にとある親しい友人が里緒の写メを見せて自慢していたからである。

“これが最近出来た俺の彼女だ”と。しかしわずか2ヶ月後、柚太の友人は里緒と別れた。

里緒に新たに好きな人が出来たかららしい。

その後も何度か新たな彼氏の噂が立ち、気付けば里緒は魔性の女扱いされるようになったのだ。