「分かった。信じるよ。でもその代わり、ご飯は沢山持って来て」

「……!? お前体調悪くて早退したんじゃなかったのか?」

「そうだけど、少しはマシになったから」


冗談交じりで笑いながらそういう蛍人。

だが心の中ではまだ真っ黒い靄(もや)のようなものが渦巻いていた。

それを信は知る由もなく、一緒になって笑っている。


(信にはぶつけちゃ駄目だ。悪い事はしていないから)


今此処で大変な事になってしまっている事をぶつけたい気持ちを、蛍人は堪えていた。