「……多分あれだよな。里緒(りお)ちゃん……蛍人には笹原って言った方が分かるか。俺の従姉妹の事だろ?」

「何で携帯を貸した」

「何でって……たまたまそういう話になって、里緒ちゃんがお前と友達になりたいとか言い出してさ。
自分の携帯を寮に忘れて来たとか言っていたから、俺の携帯からメールを送ったってわけ。
……もしそれが悪い事だったら謝るよ。何送って来られたかは知らないけど。送信メールもすぐ消してったから」


悪気があった訳ではないと訴える信。それらを語る彼の瞳には嘘はなさそうだ。

そう判断した蛍人はこれ以上信を咎めようとする事はなかった。ただその代わりに……。