「わわわわ、私がトップバッターですか!?」

「とりあえず1番タイムが遅いからまず先に走らせておいて、
脚力抜きでも足が速い佐和に少し頑張ってもらおうかと思って……駄目か?」

「ううん。良いんじゃない? ワタシ、咲ちゃんのカバーになれると思う。
咲ちゃん、遅すぎもいけないけど安心して走って良いからね?」


それに答えたのは咲ではなく佐和であった。

第一走者である彼女を励ます佐和のその言葉に咲は感激をし、

何も言葉に出来ず興奮しているようであった。

言葉に出来ない代わりに、咲は大胆にも佐和に抱きついてしまう。

その行動に佐和は戸惑ったがそれをやや嬉しくも感じていた。

程なくして我に返った咲は佐和に何度も頭を下げたが、佐和は気にはしなかった。