でも、今でも忘れない。
小学2年生の夏。



プールバックを教室に忘れた私は


学校に戻っていた。



友だちはみんな帰って静まった夕方の校舎。


………だから私は、


まだハルがいるだなんて


思いもしなかった。








『おいシミズー。誰なんだよ。』


ふと教室から聞こえたハルの名前に私は

ぴたりと足をとめた。



『お前が好きなのってアイツだろ?』



ハルの…………好きな人?



そんなの、考えたこともなかった。


私たちはいつも無条件に一緒だから

ハルに好きな人ができるだなんて

ありえないって勝手に決めつけて、安心していた。


でも、ハルも好きな人ができて、

いつか私のそばにいてくれなくなっちゃうんだ………



そう思うと、

たまらなく寂しかった。



ハルが………とられちゃう…。