「…俺の父親が浮気ばっかりしてるから、母親がおかしくなったんだ」


子供の様に、膝をついている私の腰に抱き着くと、まるで私を逃がしまいとする様に腕に力を込めた。


「いつも人肌が恋しくて…色んな女の子とセックスしても満たされなくて」

「…緋紫君、放して…?」


腕の力が弱まる。

うな垂れている緋紫からそっと離れた。


「ごめんね、私じゃ貴方の事癒せないよ」

「けど…」

「他人に依存しちゃ駄目……今日は泊まって良いから。来て、お兄ちゃんの部屋に案内するね」


私が立ち上がると、


「何もしないから、今日子と一緒が良い」


シャツの裾をくいっと引っ張られ、あの子犬の様な目で見つめられると嫌とは言えない。