「家族は?」
不意に緋紫から尋ねられ、私は、
「兄と2人暮らしなんだけど、仕事が忙しいみたいであまり帰ってこないの」
結構濡れていたので緋紫にシャワーを勧め、自分も浴びた。
2人分の制服がはいった乾燥機のスイッチを入れる。
「お兄ちゃんの服、どう?」
「丁度いいよ。ありがとう」
兄のスウェットとTシャツを着た緋紫。
「今日子って、こんな簡単に男を家に上げるの?」
「簡単にって…緋紫君が捨てられた子犬みたいな顔するからでしょう。放って置けないよ」
リビングで座っている緋紫の側へ行き、私はタオルで髪を拭いてあげた。
緋紫の家は複雑で、両親の離婚後父親が彼を引き取ったらしい。