噂は色々あるけれど緋紫は優しくて、私を家まで送ると言った。


「あ、雨…」


頬にぽつりと落ちてきたと思った時にはざーっと降ってきて、私達は急いで家に駆け込んだ。


「はあ、はあっ…」


緋紫の黒くさらさらした髪から滴が落ち、荒々しく呼吸する胸元へと落ちる。

そんな姿が何だかとても色っぽくて、女の子が寄ってくるのも頷ける。


「良かった、降り出したのが私の家の近くで。タオル持ってくるね」


濡れた靴下を脱いで、脱衣所へと向かう。

(私も結構濡れてる。風邪引きそう)


「はい、タオル」

「ありがとう」