「あっついぃぃぃ‥‥」

7月の上旬。
もう夏休みはすぐそこに迫っている。
皆、海やら祭りやらではしゃいでいる。

私は田中琴(たなかこと)。
高校2年生。
ぴちぴちの17歳です。

今年の目標は!
彼氏をつくること!!
待ってろ!未来の彼氏さま!!

それにしても、、、

「ホントにあっついぃぃぃ!!!」
「うっさいな」

私の目の前には腕を組んで睨んでいる親友の姿。
彼女は、神崎すみれ(かんざきすみれ)。
黒髪の似合う美女だ。

「すみれ、今日さカラオケ行きません!?」
「行きません」
「なんで!?」
「彼氏と会うから」

ちくしょう!
そうだった!!すみれはイケメン彼氏がいるんだった!

「はぁ」

自然とため息がこぼれる。

「琴には、長ちゃんがいるじゃん」
「は。何言ってるの、すみれ」
「長ちゃん琴に何かと絡んでくるし」
「あんなの、違うよ。誰でもいーんだって」

とかなんとか言ってると‥‥

「誰のこと言ってんだ」

ごんっと頭に鈍い痛みがはしる。

「痛っっ」
「長ちゃん!」

私たちの後ろにいたのは今まで話していた男。
私たちの担任の長本 凛(ながもとりん)。
数学の担当でまぁ、いわゆるイケメン。
女子生徒からの人気もすごい。

「ちょっと!なにするんですか!?」
「なにが?」

ほんっとにいつもちょっかいかけてきて。
ムカつくやつ!
モテる理由が分からない!

「それより、田中」
「はい?」
「ちょっと話あるから来い」
「えぇー」

仕方なく先生の後ろについていく。
空き教室に入って向かいの席に座った。

「なんですか?」
「何ですか‥‥じゃねーよ」

そういうと、先生はバンッと机に1枚のプリントを置いた。
‥‥‥‥げ。

「なんなんだ。これは」
「うぅ‥‥」