レイと梓の家へ向かう。

「ここが梓ちゃんの家。」

梓の家を見て、ボソッと呟く。

そうか、記憶を失ってから来たのは初めてなんだ。

インターホンを押す。

中でピンポーンと鳴ったのが分かった。

「はーい。」

出てきたのは梓の母。

「こんにちわ。」

「あら。今日はレイちゃんも一緒なのね。」

「……こん、にちは………。」

レイはオドオドしている。

「今、梓を呼んでくるわね。」

一度梓のお母さんは家の中へと戻る。

5分ほどして、梓のお母さんは戻ってきた。

表情は明るい。

今日こそ会えるのだろうか。

「梓、会うって。」

よく見ると、梓のお母さんは涙ぐんでいた。

その姿を見て、俺も涙が出てきた。

「どうぞ。」

お母さんに招き入れられ、梓の部屋へと向かう。

コンコン。

部屋の扉をノックすると、ゆっくりと扉が開いた。

久しぶりに見る梓。

やせ細り、元気はなさそうだ。

話さない所を見ると、まだ声は出ないらしい。