「輝。」

息を呑む。

レイの声だ。

輝を呼ぶ、レイの声。

「今日、梓ちゃんの家行ってみようよ。」

「いや、俺は行かない。」

レイの誘いを断る。

一応、梓が塞ぎこんでいる理由を知っているから。

悲しそうな表情を見せるレイ。

誘ってみようか。

輝にバレなければ大丈夫だろう。

レイと付き合い出してから、輝の嫉妬は酷かった。

ちょっと話しただけで鬼の形相で歩いてくるし、常に一緒にいる。

あんな奴だとは、思ってもみなかった。