「目を覚ましたって!?」

ガラッという扉を開ける音と共に先生と看護師が入ってくる。

「レイさん、彼らが誰か分かるかな?」

レイは首を横に振った。

レイのこの動作だけで、心臓に鎖を巻かれたみたいになった。

「そうか。親御さんは…いないね。少し待っていくれ。」

先生は病室を後にし、看護師は脈などを測り始める。

俺を含めた俺たち3人は、それを見ているしかできなかった。

「ごめん。ちょっと外行ってくる。」

二人にそう言い、俺は外へ出た。

外の空気がやけに乾いて感じる。

目も、乾いてる感じがする。

なのに、涙が出てきた。

レイに誰?と聞かれたとき、頭をハンマーで殴られた気分だった。

「記憶ないとか…ありえないだろ…。」

顔色も悪く、なにより無表情のレイが、少し怖かった。