輝side
昨日の夜、キリトからレイが事故にあったと連絡がきた。

その時、俺は母さんの実家に帰っていて、なかなか帰れる状況じゃなく、俺だけがこちらに帰ってきて、病院に着いたのは事故にあってから翌日になった。

受付にレイの病室を聞いたら、無菌室に入っていて直接会うことはできないと言われた。

ガラス越しにレイに会い、すぐに梓がくる。

梓は絶望的な顔をしていて、ボロボロだった。

後ろからキリトも来て、レイの状態を聞いた後、2人で話をした。

「梓、どうかしたのか?」

「あー。実は、レイが事故に合った時、梓ん家に行こうとしてたらしいんだ。それを知った梓は……声を失ったんだ。」

「…………はぁ?つまり、梓は喋れないってことか?」

「失声症と言われた。早くて一週間、長くて10年治らない人もいるそうだ。」

「嘘だろ。」

レイだけじゃなくて、梓まで。

どちらも、気が気じゃない状態だ。

ゴン!

病室の方から鈍い音が聞こえる。

キリトと顔を合わし、急いで戻った。

すると、あろうことか梓がガラスに頭をぶつけていた。

「梓!何やってんだ!」

隣にいたはずのキリトは、すでに梓に駆け寄っていた。

「大丈夫か梓!?」

梓の額は赤くなり、所々青くなっていた。

梓は声にならない声をあげて泣いた。

それが俺には、助けを呼んでいるように聞こえた。