《はじまり》

「よし。 そろそろ行くか。」
あたしは慣れないメガネをかけて金色に染まった髪をスプレーでごまかし、玄関へと向かう。
「亜希、もう行くの?ってどうしてメガネなんか・・・まぁ、いいけど頑張りなさいよ。」
「うん。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
あたしがメガネを掛けてる事に疑問を持ちながらも、手を振る母に見送られ、あたしは家を出る。
今日はあたしの高校の入学式。
東京の街が嫌いなあたしは、少し離れた埼玉県の高校に入学を決めた。両親には、反対されたけど、どうしても東京は無理だと説得してやっとの事でOKがもらえた時は、この街から離れられると思い、ホっとした事を覚えている。