「冷たーいっ!!きもちい!」
暑さが一気に吹き飛んだ。
「芽生ちゃん大丈夫?」
あたしを気にしてくれたのか、
勇志くんが浮き輪を支えてくれた。
確かにもうつま先が微かについてるくらい深いとこまできた。
「ありがとっ、足がもう着かないかも。」
「俺が引っ張っとくから大丈夫だよ」
そう言って勇志くんは、
浮き輪の紐を持ってあたしを引っ張ってくれた。
「芽生ーっ!見て見てワカメ!」
「あははっ、すごーいっ!礼ちゃんそれ被ってみてよっ!」
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「愁ーっ!おんぶして!」
「は?!無理!」
俺は今最高に不機嫌。
全然楽しくねぇ。
黄瀬が自分に好意を持ってる事は薄々気付いてた。
ってか気付かない方がおかしい。
最近これが鬱陶しい。
「愁ー!待ってよーっ」
「わり、俺1回上がるわ」
俺は芽生と遊びてーんだっつの。
ちらほら芽生を気にして見てたけど、
あいつは意外と楽しそうだった。
勇志が芽生の浮き輪を引っ張ってる事にすら今はイライラして仕方ない。
どうしたんだ俺。
だんだん芽生への感情が抑えきれてない。
俺は1回海から上がって、
自分達の荷物がある所へ行き寝そべった。
芽生が笑ってれば満足だったのに。
実際満足じゃねーよ。