「黙れよそろそろ。」
黙って聞いていた愁ちゃんが、
いつもより遥かに低い声で礼ちゃんに言った。
だけど礼ちゃんは、
持っていたチョークで黒板に続きを書き始めて、
何度も何度も音を立てて、
まるであたしに突き付ける様に同じ言葉を書き続けた。
「芽生はいいよね。可愛くてさ。皆が守ってくれて。」
カッ‥‥‥‥カッ。
「愁くんも、勇志くんも手玉に取ってさ。」
カッ‥‥‥‥‥‥カッ。
「皆、芽生が好きで綺麗もの扱いでさ。」
カッ‥‥‥‥カッ。
「実の父親殺したくせにね。」
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