まだ朝方のためか、公園には人が少なく
ひんやりとした風が通り抜けていた

いつも座るベンチに

私の愛しい人が座っているなんて
思ってもいなかったというのに


「れい君?」

絞り出すように声をだした
そうじゃないと声がでない
喉を縛られているようで

「どうしてここにいるの…?」

空をぼーっと見つめているれい君に
問いかけてみた


「空を見に来た」

「なんでずっと来なかったの?」

「…、叶えるまで会わないって決めたんだ」

立ちすくんだままのれい君の目の前で
私は泣きそうになる気持ちをグッと抑えた


「叶えるって、なにを」

「いつか見えるんじゃないかって夢」

「…夢、」


私に会いに来てくれたんじゃないのか
そんな気持ちがわたしの心を埋めた

また泣きそうになる気持ちを抑えるために
服の裾を力いっぱいに握ったが
もう溢れ出すほど溜まっていた