あと5番ほどでわたしの出番だ。
私は緊張する方だ。吐くほどに。いや、吐きそうなほどに。
「うぅ、きもぢわる…。」
と独り言を吐くくらいには元気だ。
まぁ、結局緊張は楽しみすぎてのものなので、自爆しているだけなのだけど。
だから楽しみすぎて楽しみすぎて緊張は膨れる一方だ。
「なつ、頑張れ。」
とわざわざ舞台袖まで来てくれた尚がギュッと抱きしめてくれてくれた。
それが酷く安心感を産み、頑張れる気がした。
「ありがと。行ってくるね。」
と私は舞台袖に立った。
「2057番高橋なつみ」
私の名前が呼ばれて音楽がなる。
私はジゼルなんだ。
そう思って舞台へ一歩踏むと、さっきまでの緊張は何もなく、取り敢えず楽しい。