「そういえば、君もシュヴァルツなんだね。今年の子たちはアインスもシュヴァルツも沢山いるなぁ」

「え、沢山いるんですか?」


アインスは一年に一つの国で2、3人程度、シュヴァルツはそれよりも少ない1人か2人だ。生まられない年もある。


「あぁ、沢山と言ってもアインスは5人、シュヴァルツも一応5人だよ。」


俺は絶句した。アインスの多さにもたが、シュヴァルツがそんなに多いなんて。
俺の国でも確か3人程度で、それでも多いほうなくらいだった。


「でも、親の転勤とはいえ、あんまりこの国の良くない時代に来ちゃったね。」

「え、それはどういう意味ですか。」


「あぁ、この国はね、シュヴァルツに対して冷たいというか、まだ差別がひどいんだ。少し君に対してもあたりがきついかもしれないが、これからこの国はきっと変わっていくんだ。

同じ仲間と仲良く頼むよ。」

「この国が変わるとどうしてわかるんですか?」

「ん〜、あんまり詳しくは立場上言えないんだけれども、私はこの国一の学校の理事長以上に使命がある。」


「それはどういう……」

「理事長、失礼します。」


ーーーことですか。と尋ねる前にドアの外から声がかかった。


「あぁ、どうやら君のお迎えが来たようだ。どうぞ、入って」

「失礼します」

がちゃ、という音とともに誰かが入って来た。


「彼がシュヴァルツの代表のツヅル君だ。同じ学年だし、彼はこの国のこともこの学校のこともよく知っている。

わからないことがあったら、彼に聞くといい。」


「ツヅルだ。よろしく。」

「…よろしくお願いします」


ツヅル君はマスクをしていて前髪はすごく長く、マスクの所にも前髪がきてしまっていた。

長い前髪の隙間から見えた目はとても大きく、その割に小さい黒目は動きが速い。その黒目も髪も真っ黒だった。


「じゃあそろそろ教室にいきたまえ。あぁ、そうだ。そのトランクは君の寮の部屋に運ばせておく。そのままで結構だ。」

「ありがとうございます。失礼しました。」

「失礼しました。」


そうして俺は教室に向かった。