あっという間に家に着いてしまった。
急がないと、とにかく急がないと。
愛里の家は普通のアパートだ。しかも母親との2人暮らし。
玄関を開け静かに一目散で自分の部屋へと行った。静かに扉を閉め愛里は床に座りこんだ。だがそんなことをしている余裕はない。早く着替えなくては。
慌てて我にかえり、着替えにとりかかった。高校生が着ないような、男を誘うかのような短いスカート。スパンコールがいくつも刺繍された派手できらきらのキャミソール。上にかるくジャケットをはおった。
鞄はブランドの物で、店のお客からかってもらった。ブランドなんて買うための金なんてない。ブランドを買うならお客に買ってもらえと店のママにもいわれた。
化粧品や香水今の全財産を鞄に詰め込んだ。
 
【ガタッ キィ―――】