「愛里、橘くんと別れたんだってぇ。もぉこれで何人めよ。10人は超えたんじゃない?笑」
 
岡藤蓮はいつものように愛里に話しかけた。愛里の知る人の中では一番多く会話を交わす。
蓮と愛里は幼なじみで愛里は仕方なく蓮と友達として振る舞っている。
蓮は小さいころから人見知りで私が初めて話しかけた相手だそうだ。
その時は私も小さかったからよく覚えていないけれど、私が公園のベンチで座っていると、蓮じゃなくて蓮のお母さんがまず私に話しかけてきた。蓮はお母さんの後ろから恥ずかしそうに私を見ていた。その時が初めての出会い。
それから私と蓮はとても仲がよかった。幼稚園から今の高校までずっと同じ学校に通っている。今ではもぉ蓮に対しては感情を出さないようにしている。
 
今日はちがった。
まず、蓮に橘と別れたことを触れられたくなかった。蓮に私の話が入るとやたらと私にいろいろと聞いてくる。もうこのやり取りは何回もあったが耐えることにも慣れた。
そして、蓮はずかずかと私の中に入ってきた。