案の定,玲奈ちゃんはクラス中に
聞こえるような声で私に言った。
更に、
「有里亜ちゃんはあんなに
かわいーのにねー!
悠里,実は拾われたんじゃなぁい?」
玲奈ちゃんの取り巻きが
芝居がかった感じでプッと笑う。
有里亜は私の妹で私に似ず
とてもかわいくてコンプレックスだった。
玲奈ちゃんは,授業での屈辱を
私のコンプレックスを的確に
刺激することで忘れようとしていた。
私は玲奈ちゃんに言い返すこともできず
「えへへ……
私は太いしかわいくないよねー」
卑屈な笑いが更に怒りを煽った。
「きもっ。こっち向いてにやけないでよ。
ってかこれから玲奈に近づかないで。」
空気が凍った。
なぜなら玲奈ちゃんに嫌われるということは
クラスで一人ぼっちになるということだ。
前に玲奈ちゃんに嫌われた女の子が
転校したのは去年のことで
みんな覚えていた,もちろん私も。
悔しいのか悲しいのかわからないけど
私は泣いていた。
玲奈ちゃんに嫌われたら困るから
誰も何も言えない。

その日から私への無視は始まった。
先生の前ではわざとらしいくらい仲良しに,
休み時間はみんなが私に背を向けて
玲奈ちゃんの席で話す。
卒業式までの半年,無視は続いた。