(♪♪♪♪♪)
流れる歌声。
木々達のざわめく風の音が龍太の耳を疑った。
歌声が聞こえる方へ歩み寄る。
(ガサガサ)
(パキ。ガサ。)
気付かれないように歩いたつもりが、山道でうまく歩けず音がする。
「うわぁー。」
龍太は自分の目を疑った。そこに見えたのは自分と同じぐらいの女の子だった。
(…。。。。)
「あの!今の歌君がつくったの?ねぇ!」
彼女は走りだす…
「まって!おぉい!」
夢中で龍太は追いかけた。慣れない道、初めて見掛けた女の子に戸惑いを感じながら話たくて…追いかけた。
(はぁ。はぁ。)
「おかしいなぁ…確かにこっちに行ったのに。」気がつけば森を出て、スーパーの近くまで来ていた。どのぐらいの距離を走って追いかけたのか、わからない…
龍太は不思議な気持を胸に買い物をして帰った。(ガチャ)
「ただいま。」
「おかえり!遅かったね。道でも迷った?」
「いや。ただゆっくり歩いただけだよ。」
龍太は姉に出会った子のことを言えなかった。
言ってしまうと、あの子が消えてしまう気がした。
(ピチピチ)
「龍太起きなさい!」
「う゛~ん。」
龍太は寝不足だった。昨日の出来事が頭から離れなかったのだ。
「おはよ。」
「いぃかげん一人で起きなさいよ。お姉ちゃんもみずほも学校行ったわよ!」
毎朝ガミガミ言う母親。龍太は苦痛に思う事が何度もあった。
(ピンポ~ん)
「誰かしら?朝から。」「っあ!友達!忘れてた!迎え来るって言ってたんだ!」
「おはよう。」
「おはようございます。」
「ごめんね。さっき起きたばっかりなのよ。」
「大丈夫です。まだ時間あるし。」
(バタバタ)
「ごめん。悪い。待たせたな。」
「気にすんな!いこうぜ!」
(いってきます。)
龍太は昨日のことをタケルに言うか悩んでいた。長く住んでいるタケルの方が詳しいと思ったからだ。「タケル!おはよ」
「おぉ!りつ早いな」
「当たり前じゃん!タケルが渋原くんと一緒に行くんじゃないかと思って!」(笑)
「何だよ。お前も龍太狙いかよ。」
「うるさいなぁ。
っあ!渋原君!初めまして!りつです。宜しくね!」
「あぁどぉも。」
りつはタケルと幼馴染みの元気がいぃ子だ。